2011年07月13日

第83番 一宮寺


四国八十八カ所 第83番札所 一宮寺




神毫山 大宝院 一宮寺 (いちのみやじ)

〔所在地〕 香川県高松市一宮町607

〔宗派〕 真言宗御室派

〔開基〕 義淵僧正

〔本尊〕 聖観世音菩薩

〔真言〕 おん あろりきゃ そわか

〔略縁起〕 高松市郊外にあり、住宅や学校、田園に囲まれた一宮寺。 その起源は大宝の頃(701~704)と古く、寺を開いたのは行基菩薩の師である義淵僧正。 当時は法相宗の「大宝院」という名だった。 その後、行基菩薩が修築するとともに讃岐一の宮「田村神社」の別当寺とし、寺の名を「一宮寺」にしている。 さらに弘法大師が再興のため一宮寺を訪れた際、本尊と自らの像を彫り、真言宗に改宗した。 やがて天正の兵火による焼失を経て再興されると、江戸時代に高松藩主・松平頼常公によって田村神社の別当寺としての任を解かれた。 明治の神仏分離令より200年も前に神仏が分離されるという、めずらしいケースだ。 ちなみに田村神社では日曜市が毎週あり、そこで開かれる讃岐うどんのお店がとても人気だ。
-『ドライブお遍路』から-



             本堂                            大師堂











        護摩堂                稲荷堂                菩薩堂




〔左〕 山門 (仁王門)

〔右〕 鐘楼堂





薬師如来祠     薬師如来縁起
 昔、この近くにおタネばあさんといって、それは意地の悪いおばあさんがいました。 ある日、近所の人から「この寺には地獄の釜の煮えたぎる音がする祠があって悪いことをした人が、この中に頭を入れると扉が閉まってぬけなくなる」と云うのを聞きました。 そこで、おタネばあさんは、「そんなことはない。ちょっと試してみよう」と恐る恐る頭を入れてみたのです。 すると扉が閉まり、下の方からゴォーと云う地獄の音がしてきたのです。 あわてたおタネばあさんは頭をぬこうとしましたが、いくらやってもぬけません。 とうとう恐くなり涙を流しながら「今までの事は許して下さい。」と何回も頼んだのでした。 すると扉が開き、頭がすっと抜けました。 それからは、おタネばあさんは心を入れかえ、近所の人からも親しまれるようになったのです。 この祠は、お大師さんが戒めのため作られたのかもしれませんね。
-境内案内板から-



一宮御陵


一宮御陵
  本堂の手前に宝治元年(1247)の銘がある凝灰岩でできた三基の宝塔がある。 一宮御陵と呼ばれ、神仏分離の際に田村神社から移されたものらしく、田村神社の御祭神である倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)と弟の五十狭芹彦命(いさせりひこのみこと・吉備津彦命)、その二人の父である皇祖第七代孝霊天皇(こうれいてんのう)の供養塔と伝えられています。





神仏分離以前の一宮寺は讃岐国一宮・田村神社の別当寺であった。
山門 (仁王門)前には田村神社の境内が広がり、神仏習合の面影が偲ばれる。



讃岐国一宮・田村神社



讃岐国一宮 田村神社 (たむらじんじゃ)   通称 定水(さだみず)大明神・一宮大明神

〔鎮座地〕 香川県高松市一宮町286

〔社格〕 旧国幣中社  讃岐国香川郡の式内社・田村神社 (名神大)

〔御祭神〕 倭迹迹日百襲姫命 (やまとととひももそひめのみこと)
       五十狭芹彦命 (いさせりひこのみこと) (吉備津彦命)
       猿田彦大神 (さるたひこのおおかみ)
       天隠山命 (あめのかぐやまのみこと) (高倉下命)
       天五田根命 (あめのいたねのみこと) (天村雲命)
   以上の五柱の総称を田村大神と申す。

〔御由緒〕  当社の起源はきわめて古く社記によれば和銅二年(七〇九)に社殿が創建されたとあり、往古より「田村大社」「定水大明神(さだみずだいみょうじん)」又は「一宮大明神」とも称され、人々より篤く崇敬されてきた。
  嘉祥二年(八四九)従五位下に叙せられ、貞観三年(八六一)官社に預り延喜の制名神大社に列せられ、讃岐国一の宮に定められて後は神階を授けられ、建仁元年(一二〇一)正一位の極位に叙せられた。
  本殿の奥、奥殿の床下には深淵があり、厚板でこれを覆い、殿内は盛夏といえども凄冷の気が満ちていて、古くから神秘を伝えている。 また領内で水旱があれば、領主奉行は必ず先ず当社に祈願したといい、定水大明神と称される所以である。 奥殿深淵には龍が棲むと伝えられ覗いた者は絶命するとされる。
  古来讃岐は雨が少なく、古代から溜池が造られてきたが、当社付近は香東川の伏流水が多い地域で、農耕に欠かせない湧き水への信仰が、祭祀に繋がったと考えられている。
-『全国一の宮めぐり』から-




            讃岐一 宮の御前に 仰ぎ来て
                           神の心を 誰かしらいう




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