2012年06月07日

第26番 一乗寺


西国三十三ヶ所 第26番札所 一乗寺




法華山 (ほっけさん)  一乗寺 (いちじょうじ)

〔所在地〕 (播磨國) 兵庫県加西市坂本町821-17

〔宗派〕 天台宗

〔開基〕 法道仙人 (ほうどうせんにん)

〔創建〕 白雉元年 (650)

〔御本尊〕 聖観世音菩薩

〔御真言〕 おん あろりきゃ そわか

〔略縁起〕 法華山一乗寺の開基は、番外札所花山院や第26番札所一乗寺と同じく、伝説の渡来僧法道仙人である。 法道仙人は紫の雲に乗って中国、百済を経て日本へ飛来、播磨国に八葉蓮華の形をした霊山を見出し当山に留まった。 法華経を読誦修し、千手飛鉢の秘法により米や金を集め貧しい民を救済したため、「空鉢仙人」と呼ばれた。
 法道仙人の評判は都へも広まり、大化5年(649)宮中に召され、孝徳天皇の病気を17日間の加持祈祷によって平癒させた。 その功績により孝徳天皇から金堂創建の勅があり、白雉元(650)年、天皇行幸の金堂落慶法要において、「一乗寺」の勅額を賜ったと伝えられている。
 一乗寺はその後も名刹として貴賤の信仰を集め、後醍醐天皇は西国第一の大講堂を寄進したという。 この地も戦国の兵火と無縁ではなく、この講堂をはじめ堂塔の多くは失われたが、幸いなことに平安時代の三重塔や仏像、仏画など、すぐれた文化財が罹災をまぬがれ、いまに伝えられている。


          本堂 (重要文化財)                    三重塔 (国宝)



        常行堂             弁天堂と妙見堂              鐘楼





    御本尊 (秘仏)    聖観音立像   -重要文化財-
  金銅造   像高 72.7cm    白鳳時代
 法道仙人の念持仏は千手観音と伝わるが、本尊、御前立ともに聖観音像である。 本尊と御前立はともに白鳳期の像。 よく似ているが、御前立像のほうが瓔珞(ようらく)などの装飾が華やかで、本尊のほうが表現は簡潔である。 両像ともに幼児のように朗らかで平明な相貌をもち、白鳳期の仏像の特徴をよく表しているが、スリムな体形はむしろ飛鳥の古様を思わせる。
 本尊聖観音立像は三間大厨子の中央に安置され、左脇侍に不動明王像、右脇侍に毘沙門天像が祀られている。




                  納経帳

 〔御墨書〕    「奉拝」
           「大悲閣」
           「一乗寺」

 〔御朱印〕    「西國廿六番」
      蓮華宝珠の中に御本尊の種子 「キリク」
           「一乗寺印」



※ 一乗寺では御本尊聖観世音菩薩の種子に「キリク」が使われている。
 聖観音の種子は本来「サ」なのだが、どうしてだろう?
 第21番穴太寺や第28番成相寺の聖観音は「サ」が使われている。
 納経所の説明では、「中世から伝統的に使われているので、その理由はわからない」とのこと。
 閑人思うに、一乗寺の寺伝に「法道仙人の念持仏は千手観音」と伝わることから、千手観音の種子「キリク」が伝統的に使われて来たのではないかと。




御本尊の種子 「キリク」




          春は花  夏は橘  秋は菊
                        いつも  妙なる  法の華山




この記事へのトラックバックURL

http://manyuuki.mediacat-blog.jp/t79672