2012年06月12日

第27番 圓教寺


西国三十三ヶ所 第27番札所 圓教寺




書寫山 (しょしゃざん)  圓教寺 (えんぎょうじ)

〔所在地〕 (播磨國) 兵庫県姫路市書写2968

〔宗派〕 天台宗

〔開基〕 性空上人 (しょうくうしょうにん)

〔創建〕 康保3年 (966)

〔御本尊〕 六臂如意輪観世音菩薩

〔御真言〕 おん ばらだ はんどめい うん

〔略縁起〕 書寫山圓教寺は、康保3年(966)、性空上人によって開かれた。 「西の比叡山」とよばれるほど寺格は高く、西国三十三ヶ所中最大規模の寺院で、比叡山、大山とともに天台の三大道場と並び称された巨刹である。 京都から遠い土地柄でありながら、皇族や貴族の信仰も篤く、訪れる天皇・法皇も多かった。
 花山法皇は二度も御来駕になり性空上人の教えを受けられた。 後白河法皇も七日間、御参籠になり、後醍醐天皇は隠岐の島より御還幸の際、一泊された。 以来、多くの信仰を集め、善男善女の参詣や多くの僧侶の修行の道場として栄え、現在も、全国からの参詣者が絶えない。 国指定重要文化財の建造物八棟、仏像八体、今もなお、昔日のおもかげを林間に輝かせている。
 西国観音霊場の札所は摩尼殿(まにでん)である。 マニとは梵語の如意のこと。 天禄元年(970)の創建、本尊は六臂如意輪観世音菩薩。 天人が桜樹を礼拝するのを見て、性空上人が根のある生木に観音像を刻まれたため、岩山の中腹に舞台造りの建物となっている。
 本堂に当たる大講堂(だいこうどう)は室町中期の建物で、食堂、常行堂とともにコの字型に立ち並んで「三之堂」を形成している。
 2003年公開のハリウッド映画『ラストサムライ』の主なロケ地になり、同年のNHK大河ドラマ『武蔵』の重要なロケ地にもなった。


             摩尼殿                        大講堂 (重文)












      食堂 (重文)            常行堂 (重文)          金剛堂 (重文)



      護法堂 (重文)          山門 (仁王門)            鐘楼 (重文)





      御本尊 (秘仏)     如意輪観音坐像
 如意輪観音は如意宝珠と輪宝をもって一切衆生の願望を満たし、苦しみから救うとされ、とくに密教が移入されてから広く信仰されるようになった。 経典には腕の数を2、4、6、12本とさまざまに規定されているが、日本の如意輪観音像の多くは二臂もしくは六臂像で六臂像はその手には宝珠や輪宝をもつ。 また片膝を立てた輪王坐(りんのうざ)と呼ばれる独特の坐り方をしている坐像が多い。 圓教寺の像も六臂の坐像である。
 1月18日の鬼おいの日に開扉され、国の重要文化財四天王像もここに安置されている。




納経帳

 〔御墨書〕    「奉拝」
           「摩尼殿」
           「圓教寺」

 〔御朱印〕    「西國二十七番」
        蓮華宝珠の中に御本尊の種子 「タラク」
           「書寫山圓教寺」




※ 御宝印に第13番石山寺と同じく、如意輪観音の種子に「タラク」が使われている。
 如意輪観音の種子は本来「キリク」が一般的なのだが。
 第1番青岸渡寺、第7番岡寺、第14番三井寺、第18番六角堂の如意輪観音の種子は「キリク」が使われている。
 宗派による違いではなく、寺独自の伝統によるものと思料される。
 納経所の説明でも、「昔から使われているので、その理由はわからない」とのことである。




御本尊の種子 「タラク」




        はるばると  のぼれば書寫の  山おろし
                           松のひびきも  御法なるらん




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