2012年07月02日

第30番 宝厳寺


西国三十三ヶ所 第30番札所 宝厳寺




巌金山 (がんこんざん)   宝厳寺 (ほうごんじ)

〔所在地〕 (近江國) 滋賀県長浜市早崎1664   (竹生島)

〔宗派〕 真言宗豊山派

〔開基〕 行基菩薩

〔創建〕 神亀元年 (724)

〔御本尊〕 弁財天 (本堂)
       千手千眼観世音菩薩 (観音堂) 

〔御真言〕 おん そらそばてい えい そわか  (弁財天)
       おん ばざら たらま きりく  (千手観音)

〔略縁起〕 竹生島宝厳寺は神亀元年(724)、聖武天皇が夢枕に立った天照皇大神より「江州の湖中に小島がある。その島は弁才天の聖地であるから寺院を建立せよ。 すれば、国家泰平、五穀豊穣、万民富楽となるであろう」というお告げを受け、行基を勅使とし、堂塔を開基させたのが始まりと伝えられる。 行基は、弁才天像を彫刻し御本尊として本堂に安置、翌年、観音堂を建立し千手観音像を安置した。
  爾来、天皇の行幸が続き、伝教大師、弘法大師など来島修行されたと伝えられている。 豊臣秀吉との関係も強く、多くの書状、宝物が寄贈されている。 慶長7年(1602)には、太閤の遺命により、秀頼が豊国廟より桃山時代の代表的遺稿である観音堂や唐門などを移築させている。 
 江戸時代までは神仏習合の霊場であり、式内社都久夫須麻神社と宝厳寺とは一体化していた。 明治に入り、明治元年(1868)に発布された『神仏分離令』により大津県庁より、宝厳寺を廃寺にして神社とし、延喜式神名帳に記載される「都久夫須麻神社」と称するよう命令があったが、全国数多くの信者の強い要望により廃寺は免れ、本堂の建物のみを神社に引き渡すこととなった。 本堂のないままに仮安置の大弁才天であったが、昭和17年に現在の本堂が再建された。
 本尊大弁才天は日本三弁才天の一つとして、千手観世音菩薩は西国三十三ヶ所観音霊場の第30番札所として参拝者の姿が今も絶えない。


         本堂 (大辨才天堂)              唐門 (国宝)と観音堂 (重文)












      舟廊下 (重文)        竜神拝所かわらけ投げ        五重石塔 (重文)




都久夫須麻神社本殿 (国宝)



都久夫須麻神社 (つくぶすまじんじゃ)

〔鎮座地〕 滋賀県長浜市早崎町1665  (竹生島)

〔社格〕  旧県社  近江國浅井郡の式内社・都久夫須麻神社

〔御祭神〕 市杵島比売命 (いちきしまひめのみこと)  (弁財天)
       宇賀福神 (うがふくじん) 
       浅井比売命 (あざいひめのみこと)  (産土神)
       龍神 (りゅうじん)

〔御由緒〕 社伝では、雄略天皇3年に浅井姫命を祀る小祠が作られたのに始まると伝える。 『近江国風土記』(逸文)には、夷服岳(伊吹山)の多多美比古命が姪にあたる浅井岳(金糞岳)の浅井姫命と高さ比べをし、負けた多多美比古命が怒って浅井姫命の首を斬ったところ、湖に落ちた首が竹生島になったという記述がある。
 神亀元年(724)、聖武天皇の夢に天照大神が現れ、「琵琶湖に小島があり、そこは弁才天(弁財天)の聖地であるから寺院を建立せよ」との神託があったので、行基を勅使として竹生島に遣わし寺院を開基させた。 行基は弁才天の像を彫刻して本尊とした。
 延喜式神名帳では小社に列する。
 中世ごろから、比叡山の影響のもとに神仏習合が進み、弁才天を本地仏とし、「日本三大弁才天」の一つと称されるようになった。 日本最古の弁才天、弁才天の発祥地とも言われる。
 江戸時代までは神仏習合であり、隣接する宝厳寺と一体化していた。 明治に入り、新政府の「神仏判然令」により、大津県庁は宝厳寺を廃寺にして神社とし、延喜式神名帳に記載される「都久夫須麻神社」と称するよう命じた。 しかし、全国の崇敬者の強い要望により宝厳寺の廃寺は免れ、寺院と神社の両方が並存することとなった。  明治7年に都久夫須麻神社と宝厳寺の境界が決められ、明治16年に両者の財産が区別された。 以降、都久夫須麻神社と宝厳寺は別の法人となっているが、今日でも都久夫須麻神社の本殿と宝厳寺の観音堂は舟廊下で直接連絡しており、両者は不可分のものとなっている。





      御本尊 (秘仏)    千手観音立像

   木造   像高 178.5cm    鎌倉時代
 弁財天像とともに秘仏で、本来は60年に一度しか開扉されない。
 寄木造、玉眼、漆箔仕上げの等身像で、ご開帳がもっとも待ち遠しい秘仏のひとつである。
 貞永元年(1232)の火災で伽藍が焼けた折に制作された鎌倉時代の再興像と考えられている。




                  納経帳
 〔御墨書〕   「奉拝」
          「大悲殿」
          「宝厳寺」

 〔御朱印〕   「西國第三十番」
        蓮華台の下に「竹生島」
      蓮華宝珠の中に千手観音の種子 「キリク」
          「竹生島寶厳寺」





                  弁才天 「ソ」        千手観音 「キリク」




        月も日も  波間に浮かぶ  竹生島
                           船に宝を  積むここちして



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