2013年01月29日

第1番札所 杉本観音


坂東三十三ヶ所 第1番札所 杉本観音





大蔵山 (だいぞうざん)  杉本寺 (すぎもとでら)     通称 杉本観音

〔所在地〕 (相模国) 神奈川県鎌倉市二階堂903

〔宗派〕 天台宗

〔開基〕 行基菩薩 (ぎょうきぼさつ)

〔創建〕 天平六年(734)

〔御本尊〕 十一面観世音菩薩 (三尊同殿)

〔御真言〕 おん まか きゃろにきゃ そわか





〔略縁起〕 古刹がひしめく古都鎌倉にあって、最古の寺と伝えられている。 その開創はおよそ1200年前にもさかのぼる。 『杉本寺縁起』には天平六年(734)の記述があり、奈良時代の名僧、行基菩薩が自ら刻んだ十一面観世音菩薩を安置したのが始まりと伝えられている。
 杉本寺のご本尊は「三尊同殿」といわれる三体の十一面観音像である。 天平六年(734)、行基菩薩が自刻の十一面観音像を安置して開創した。 のちに慈覚大師(円仁)が同じく十一面観音像を内陣の中尊として納め、天台の法流に属せしめた。 さらに寛和二年(986)恵心僧都(源信)が花山法皇の命をうけて十一面観音像を奉安したと伝えられる。
 三尊同殿のご本尊は内陣の奥の「大悲殿」に安置され、御前立ちには、源頼朝の寄進による運慶作の十一面観音像が安置されている。
 文治五年(1189)、寺が火災に遭ったとき、この三尊は自ら杉の木の下に避難して火難を免れたとの逸話があり、「杉の本の観音さま」ということで「杉本寺」と名付けられた。


御本尊の御影

        行基菩薩御作          慈覚大師御作          恵心僧都御作




御住職の法話

    争いのない世界           杉本寺住職 静川慈昭

 杉本寺に十一面観音さまのお像が三体おまつりされているのは、十一面観音信仰の波が三度この寺に高まったことを示しているといえましょう。
 頭の上をよく拝しますと正面に三つのやさしいお顔、その左側に三つの怒った顔、右側に三つのこわい顔、そしてうしろに笑った顔、その十の顔の中心に正面を向いて仏さまの顔がついているのがわかります。
 これは観音さまが、その日、その時によって変る私たちの心と行ないにあわせて、それに最も適した顔で導きお救いくださることを意味しているといわれるものです。すなおで正しい人にはやさしい顔で、悪いことを考えている人には怒りの顔で、善いことをしている人には、これはこわい顔ですが励ましておられ、また落ちつかない人には、そんなことでどうするのかと笑いながらたしなめてくださるわけなのです。
 だから、どのお顔も私たちを幸せにしてくださるためのもので、すべてが観音さまの温かい心のあらわれなのです。ですから、みんなが十一面観音さまを信ずると争いのない世界が実現するのです。
-『板東三十三所観音巡礼』から-



納経帳

   〔御墨書〕   「かまくら」
            梵字「キャ」   「十一面大悲殿」
            「杉本寺」

   〔御朱印〕   「坂東第一番」
            蓮華宝珠の中に十一面観音の種子「キャ」
            「鎌倉最古佛地杉本寺」
            「発願」




十一面観音の種子 「キャ」




       頼みある しるべなりけり 杉本の
                      誓ひは末の 世にもかはらじ




この記事へのトラックバックURL

http://manyuuki.mediacat-blog.jp/t87281