2012年03月05日

第10番 三室戸寺


西国三十三ヶ所 第10番札所 三室戸寺




明星山 (みょうじょうざん)  三室戸寺 (みむろとじ)

〔所在地〕 (山城國) 京都府宇治市莵道滋賀谷21

〔宗派〕 本山修験宗

〔開基〕 行表和尚 (ぎょうひょうおしょう)

〔創建〕 宝亀元年 (770)

〔御本尊〕 千手観世音菩薩

〔真言〕 おん ばざら たらま きりく

〔略縁起〕 光仁天皇が行幸した際、霊感を感じたので藤原犬養に命じ周辺を探させたところ、宇治川の支流である志津川上流の岩淵で黄金の千手観世音菩薩像を発見したと伝えられている。 宝亀元年(770)、天皇の勅願により、この仏像を安置するため、御室の一部を移し、奈良大安寺の行表和尚を招き、御室戸寺としたのが寺の起源とされている。 以来、天皇・貴族の崇敬を集め、堂塔伽藍が整い、霊像の霊験を求める庶民の参詣で賑わった。
 後に御室戸寺は三室戸寺に改称された。 創建時は仏像が発見された場所の近くの山中に寺があったとされているが、度重なる火災に遭い、15世紀に現在の場所に移されたという。 現在の本堂は文化二年(1805)に建立された重層入母屋造りの重厚な建築で、その背後には室町時代の十八神社社殿、東には鐘楼・三重塔がある。 宝蔵庫には平安の昔を偲ぶ五体の重要文化財の仏像が安置されている。


      本堂 (江戸時代・府文化財)         鐘楼と三重塔 (共に江戸時代・府文化財)












  十八神社 (重要文化財)           山門            阿弥陀堂 (府文化財)






   御本尊 (秘仏)     千手観世音菩薩像
 本尊の千手観音像は厳重な秘仏で、写真も公表されていない。 1尺2寸という言い伝えどおりなら、わずか36cmの小像である。 創建の由来や時期、あるいは江戸時代の木版刷りのお札の姿から判断して、飛鳥時代に多く造られた金銅仏かと思われる。
 秘仏本尊を模して造られたお前立ち像は、大ぶりの宝冠を戴き、両手は胸前で組む飛鳥様式の二臂の観音像で、二臂でありながら「千手観音」と称されている。 天衣の表現は図式的で、体側に左右対称に鰭状に広がっている。 こうした像容は奈良・法隆寺夢殿の救世観音像など、飛鳥時代の仏像にみられるものである。





納経帳

 〔御墨書〕  「奉拝」
         「大悲殿」
         「三室戸寺」

 〔御朱印〕  「西國第十番」
     蓮華宝珠の中に千手観音の種子「キリク」
         「三室戸寺」




千手観音の種子 「キリク」




      夜もすがら  月を三室戸  わけゆけば
                         宇治の川瀬に  立つは白波




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