2013年02月27日

第6番札所 飯山観音

坂東三十三ヶ所 第6番札所 飯山観音





飯上山 (いいかみさん)  長谷寺 (はせでら)        通称 飯山観音

〔所在地〕 (相模国) 神奈川県厚木市飯山5605

〔宗派〕 高野山真言宗

〔開基〕 行基菩薩 (ぎょうきぼさつ)

〔創建〕 神亀2年 (725)

〔御本尊〕 十一面観世音菩薩

〔御真言〕 おん まか きゃろにきゃ そわか





〔略縁起〕 この寺の草創については二つの縁起が伝わっている。 寺伝によれば、神亀2年(725)、この地を来錫の行基菩薩が五色に耀く清水の中から十一面観音の示現を感得された。 行基菩薩は傍らの楠の木で新たに三尺余の尊像を彫み、感得したお像を胎内に納めて、ここに霊刹を設けた。 後の大同2年(807)、弘法大師がこの寺を密教の道場にしたという。
 もう一つの縁起は、『観音霊場記』に、この地の領主飯山権太夫が旅の僧に一夜の宿を布施したところ、そのお礼にと大和長谷寺の本尊と同材で造った観音像を賜り、一宇を建立したのが寺の始まりであり、その旅僧こそ弘法大師であったという。
 この二つの縁起は行基菩薩・弘法大師という優れた大徳と長谷寺信仰とを組み合わせたものであるが、大衆の期待を一身に集めた二高僧と霊験豊かな長谷観音さまの登場で、この寺は多くの人々の信心をより深めてきたのである。



御本尊の御影





御住職の法話

   桜並木と公園の開かれた寺          長谷寺住職 米山隆応

 当山は丹沢近辺のハイキングコースになっていますので、巡礼の方々のほかにハイキングの人たちが多く訪ねて来られます。 私が座っておりますと、特にそうした方から寺の来歴についてよくお尋ねを受けます。 何かのご縁と思いますので、できるだけ説明して差しあげています。 堂を一巡する形で第一番から三十三番までの観音像を並べ、順に参拝できるようにいたしましたが、中にはそれが機縁となって巡礼を発願される方もおいでのようです。
 門前の桜並木はよく知られていて春にはお花見客で賑わいますが、もとは先代が炭でも焼こうかと裏山一帯に植えたのが始まりでした。 子供たちが遠足に来たりいたしますので、境内地を広く公園として開放しておりますが、山門から内はみ仏にお仕えする場として厳しく区別し、名前入りのベンチ、屑籠、灰皿など一切置かず、禁止札なども建てておりません。 お花見客もよく心得ていて、ついでのお参りもお酒の入る前に済まされるようです。
 先生に連れられて遠足に来た子供たちが、境内地の公園で嬉々として無心に遊んでいるのを見ますと、いかにも平和なその風景が、観世音の宏大なご慈悲を目のあたりに見る思いで、このようにして本当によかったと思っております。
-『板東三十三所観音巡礼』から-




納経帳

    〔御墨書〕      「飯上山」
                梵字「キャ」  「大悲殿」
                「長谷寺」

    〔御朱印〕      「坂東第六番」
                蓮華宝珠に十一面観音の種子「キャ」
                「長谷寺印」




十一面観音の種子「キャ」




         飯山寺  建ちそめしより  つきせぬは
                          いりあいひびく  松風の音




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